ラスト、リス、ルース、レス、ロス

2025-09-18

ずっと話をしてくれないアシダカグモが卵嚢を抱えている

その姿を「蜘蛛の太鼓」というけれど、まさに

近寄ると逃げるから離れて見つめる

卵嚢は蚕の繭より白いけれどちょっと雑

そして黒い子蜘蛛が十数匹透けて見える

中には 69 匹くらいいるんだろうな

僕との子

とは一回しか思わないよ

蜘蛛とニンゲンでは子供できない(よね?)

日に焼けた金髪の雄蜘蛛を想像

産後の栄養を補給するためにどこかへ旅立ったのかな

三日見ない

自然の掟

不要になったリングケースに卵嚢を乗せる

大きさといい、クッション性といい、ちょうどいい

そのうち蜘蛛の子が蜘蛛の子を散らすように放射状に走り去るんだろうな

「子蜘蛛」ではなく「蜘蛛の子」っていいね

親の存在があっての子

そして子蜘蛛は父母を知らない

それでも散っていく「蜘蛛の子」

子蜘蛛が卵嚢の隙間から見る世界はどうですか?

未知の世界だよね

鳥や車が食べ殺そうと待ち伏せている

だから猛ダッシュで逃げないと

一網打尽にされないようにボクは北、あたちは南、わたしくは北東

死の不安と恐怖もあるだろうけど

子供だからわくわく感が勝っていそう

いつでも外に出られるように窓を開ける

邪魔にならないように中空に浮いて眺める

蜘蛛の親は近くにいないものだから僕は天敵のように恐ろしいかもな

車にひかれた猫を拾いに出かける

近頃は涼しい夜。秋の虫

これなら数日野宿するのも快適