2025-10-01
夜は半袖だと肌寒いくらい
すっかり冷たくなった自分の腕を掴んで温めるの好き
誰かに温めてもらっていると錯覚するから
そのうち、ああ僕か、とわかったら手を離して腕を冷やす
温めていたほうの腕が冷たいから握るけれど、僕だとすぐにわかるので離す
でも今日書くのは酷暑日のこと
昼が暑すぎたセミが夜中にセックスセックスベイビーベイビーと鳴いていた熱帯夜
(龍ケ崎リンさん『熱帯夜』の 200 万再生突破おめでと woo 燃え上がる愛の fire お前らなら oh オレらなら yeah ネツタイヤ ネツタイヤ)
そんな夜にセミの鳴き声と泣き声を聞きながら聴きながら
まだあまり死後硬直していない少しだけ柔らかい車にひかれた猫を拾う
家が遠くて朝を迎えて灼熱の昼が来る(天動説、地動説)
車にひかれた猫を持っているとニンゲンが厄介なのでリュックに隠す
すごい暑い日だったのでリュックの中で車にひかれた猫が腐ってしまった
リュックが強烈な死臭に刺繍された詩集
お寿司とか入れたら腐臭味(貴腐ワインならボトルなので大丈夫なんだろうな(ぼんやり))
リュックが臭うということは車にひかれた猫がそこにいるということ
だからこのリュックも車にひかれた猫としたよ
別の僕(僕だけど)がリュックとして使おうとするので「車にひかれた猫だよ」と取り返す
わかりやすいようにリュックに「車にひかれた猫」と書いた紙を貼る
僕と僕に「なんで車にひかれた猫と書いているの?」と聞かれたので
「車にひかれた猫が沁みた車にひかれた猫(リュック)」と書いておく
それでも僕や僕とか僕が「なに?」と聞かれるので「嗅いでみて」と書き足す
これで全僕が納得してくれたみたい
でも 69 日後や 69 ヶ月後、69 年後に臭いがまったくなくなれば意味がわからなくなる
何度かニンゲンに部屋中の車にひかれた猫を車にひかれた猫だとわからず捨てられたことがある
この日記の URL を書けば説明になるなと思ったけれど
このサイトはいつかなくなるだろうし、
このページをプリントして貼ったり、リュックに直接書いても風化する
なので星々を動かして「このリュックは車にひかれた猫が染みついてるから車にひかれた猫だから捨てないで↓」星座にする
「染」の部分で密集した星たちの重力制御に失敗して衝突してブラックホール化して前段の文字も飲み込まれてしまった
そもそもニンゲンに汚された夜空で見えない死
僕の首を切って頭を入れておくのがシンプルかもな
捨てられるにしても車にひかれた猫と一緒に捨てられるし
頭を切ってくれた僕は車にひかれた猫が見えないのかわいそう
温められなかった温めたほうの腕も
ああ、僕は切断された僕を僕と認識しないんだな
僕は自分をかわいそうだと思わないから
こんなに幸せなのに