僕たちと僕

僕が帰ってくる

鏡の自分を見ても自分以外なのか分からないように

帰ってきた僕が昨日の日記に書いた僕なのか分からない

晴れ晴れした顔してる

数日、僕たちと北上して桜を見てきたとのこと

楽しそうじゃん

僕にお土産を買ってきたそうだけど僕は知らないな

その飲み会も知らないし

少しの沈黙

ところで僕は無限にいると思う?

分からないか

666 人は?

いそうだよね

では 69 人は?

え、集まったの?

また沈黙

無言でお互い拾った車にひかれた猫を見せあう

左前足が二本あるのに右後足が一本もないね

続く沈黙

左前足をあげる

左前足をもらう

でも違う左前足だから戻す

返してもらう

僕が僕より新しい iPhone を取りだし着信を確認

着信通知の「僕」の一文字が見えた

出かけて行った

スマホの月の契約を確認したいけれどパスワードが分からない

僕は僕じゃないのか

鏡に半泣きの僕がいる

大丈夫?

あ、僕か

(よかった、笑ってくれた)