ぼたもち的な幸せ

ぼたもちを食べ終え、境内で太陽の暖かさを布団に寝なおしていたら

警察官二人に起こされる

お地蔵さんを元に戻してと言われる

住職が遠巻きに睨んでいる

ぼたもちをくれたお地蔵様のことだ

どこから来たのか分からないから

どこに戻せばいいのか分からない

それに僕が動かしたわけじゃない

警察官二人が相談している

僕が動かした証拠はない

それにお地蔵様は一人で持てない重さ

警察官二人と休み休み運んでいく

お地蔵様を置いた場所の地面がくぼむ

でもそれ以外にくぼんだ場所が見当たらない

だから合理的に考えればお地蔵様が来てくれたんだと言うけれど信じてくれない

和歌山の大川峠にはぼたもちを繁盛させ、山賊から守ったぼた餅地蔵

杉並区の長延寺では産後の肥立ちが悪い母子に牡丹餅を届けたお地蔵様のお話がある

今も各地であるんだろうけど信じられないから話が残らないのかな

僕が車にひかれた猫にお団子をあげたから

僕はお地蔵様からぼたもちをもらって僕も幸せになったいいお話なのに

お地蔵様だって幸せな気持ちになったから、僕にぼたもちをくれたんだろうし

信じてくれたとしても、ささやかな幸せなので話として残らないのかな