死事

2022/9/6

僕は仕事をしたことないと言ったけど、車にひかれた猫を拾うのが仕事かな

車にひかれた猫を拾うと 1 車にひかれた猫が手に入るの

もう一匹車にひかれた猫を拾うと 2 車にひかれた猫になる

拾えば拾えるほど車にひかれた猫が手に入る

やりがいのある仕事かと言われると複雑

やりがいというより、やるせなくなるし

働く時間は主に深夜過ぎ

道を横断しようとした猫がライトにすくんでひかれがちなので

ハエも夜は寝ているからハエもいないし

暗くて見つけづらいけど道路に違和感あるよね

道路の瘤のような黒い塊。風によっては毛羽立つ毛や

まだ死んでいなくて鳴いているときもある。すごく怒られることも

点々と続く血を追うこともある

昼間はヒトにじろじろ見られて嫌なんだけど

寝過ごしてしまったり、さ迷って昼になることがある

いろんなところに行くから住所不定車にひかれた猫職

車にひかれた猫がいそうな所に気の向くまま足を向けている

滅びに至る門は広く、その道は広々とし、どこへでも繋がっているから、どんな所にも行ける

ヒトがいない時代から車にひかれた猫を拾っている

ヒトが滅んでからも車にひかれた猫を拾っている

車にひかれた猫は並べる派

山にすると下の車にひかれた猫が重いから

昔は富士山より高い車にひかれた猫塚を作っていた

上まで登るのに一日かかるようになって並べることにした

そうしたら底の車にひかれた猫が潰れてて悪いことをした

想像力や知性が欠如している

ヒトと関わらないから道徳や常識は不要

自分のペースでできる

たまに内なる声に急かされて泣くこともある

外からの声は腹立つけど無視すればいいけど

誰もいないときの外からの声は厄介。車にひかれた猫を拾うことの妨害

犬も大好きだよ

すごくフレンドリーだし

すごく嬉しそうに喜べる

だから僕は犬になりたい

けどなれなから暗い顔で「自殺」「死!」と口癖呟きながら(周囲の反応をみるとたまに大声で)車にひかれた猫を拾っている

あ、もうこんな時間

車にひかれた猫を拾ってくるね!ばいばーい