丸めた左の拳が口に入るか試してみた。
入った。
頑張ったら手首まで入った。
えずくけれど肘まで入った。
もしゃもしゃと腋毛を飲み込んで
心臓の入った左胸、そして右胸まで飲み込んだ。
鼻から荒い息をする。
一気に右腕を吸い込んだ。
口の端が痛いけれどおへそまで咥え込んだ。
その先はちんちんか。
目をつむってぱくんと飲み込んだ。
口からは二本の足と涎が出ているだけ。
数メートル先に車にひかれた猫が見えたからちょこちょこと歩いて行った。
足の間に車にひかれた猫。
ばくっと車にひかれた猫ごと足を飲み込む。
残った頭は車に潰された。
車にひかれた猫が二重に轢かれたことが不憫でならない。