眠り。泥の中。沈む。目が開かない。
喉が乾いた。くっつく。痛い。
ベッドの下。床の上。肩より少し下。水。の、ボトル。
目を閉じたまま手探りでベッドから手を下ろしてボトルを探す。
あった。
力の加減が効かずにボトルを倒す。
寝返りを打ってボトルに近づき床に転がるボトルを探す。
じゃらりと鎖。
僕の部屋には鎖がないはずなのに。
ようやく目が開く。
ボトルはすぐそこにあった。
そして鎖。
ぐたぐたとわざとらしく曲がりながら扉の外に続く。
鎖?
目覚めていない体を持ち上げて鎖を追う。
鎖は廊下から外へと続いている。
手なのに手が鉄の臭いを嗅いでいる。
鎖を手繰ると体が重くなる。
道路に鎖のとぐろ。ここで終わり。
血の溜まりだ。毛がある。猫の死体は?
振り返ると家までの鎖は血の滴になっていた。
手は血まみれ。
車にひかれた猫を拾ってベッドの下に置いたんだった。
もう何回も。
きっとベッドの下は車にひかれた猫だらけだ。